「お疲れ様です」
帰える間際、軽く頭を下げ、先輩社員、同僚に笑顔を向けて
私は帰宅の戸についた
暇で、特にやることも無く、面白くない職場
そのくせ、人間関係はなかなかドロドロしている
私に与えられていることは
ただ黙って笑顔を振りまいて座っていること
かわいいから。綺麗だから
それ以外の理由は無いのかもしれない
あの会社に私がいる意味は
ほとんどの人は思っているのだろう
若くて綺麗なうちに、誰かと結婚して円満な寿退社をするのだろうと
そんな、普通過ぎるような普通の想像
バカみたい
だけど、最近はそれでも良いかと思ってきた
悪いわけじゃないもの
ただ、それはどうしよもなく退屈なだけだ
私はそんなことに目を瞑りながら生きている
みんなそうだと思う
みんなそうだから、この世界は上手くいっているのだろう
いつの間にか、繁華街に足を向けていた
綺麗で、そして汚い街
怪しく、それでも、何かを見せてくれる、夢見せてくれる
例え幻でも
「おっ、里緒ちゃん。いらっしゃい」
「うん。こんばんわ。いつものやつ、頂戴」
いつまで続くのだろう、この物語は